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元々当店でメーカー側企画で製作したAlba Hollowを取り扱っておりましたが、今回の個体は仕様も含め熟考した当店カスタムオーダー品となります。
ケリーさんのモデルをオーダーする際にRed Houseさんより選りすぐりのキルトメイプルをご紹介頂いていたのですが、どうしても捨てがたい極上の杢が出たキルト材があった為、急遽Alba Hollowにてオーダーをする事に致しました。
まずはルックスに関してのご説明でございます。
先述した通り、当個体はどうしても"選ばない"という選択肢が見つからなかった極上のキルトメイプルをトップに採用した個体でございます。
正直5Aグレードにしか見えないのですが、まさかの4Aグレード材として売り出されており、アップチャージ金額も5Aよりも大幅に安く設定されている、超お得な材でございました。
塗装をする前からギラギラと主張する大振りなキルト材は、当店担当の心をガッチリと掴んでしまう程に美しく、画像の通り塗装をした完成形も神々しい美しさとなっております。
これほど大振りでハッキリとした杢が出た材である上に、真っ白で寒色系のカラーを採用しても綺麗に仕上がりそうな材だった為、最も杢目が映えるであろうBlue Fadeカラーの採用を決めました。
カラーに関してRed Houseへ依頼をした内容は、"透明感が強く出る青色にして欲しい"でした。
サンプル画像等も提出致しましたが、想像以上の仕上がりとなりました。
サウンドや演奏性に関する仕様に関しましても強い拘りがございます。
通常こういったホロウ系でキルトメイプルトップにP-90ピックアップを採用する場合マホガニーボディーで製作される事が多いと思われますが、今回はあえてアルダーボディーにて製作しております。
P-90系の甘くふくよかなトーンは、マホガニーとの相性が抜群に良い一方、サウンドの輪郭がボヤケ気味になります。
今回はアルダーボディーを採用する事でカラッと枯れた様なサウンドに甘さや色気が加わり、そして全体の輪郭も感じられる様なサウンドになる様に意図に基づき当仕様でオーダー致しました。
指板にローズを採用した事も手伝い、サウンドは大変甘い上にしっかりと一音一音に芯が通った様な極上のトーンに仕上がっております。
ネックスケールはロングスケールやミディアムスケールでは無く、ロングスケールよりも少しだけ短い25.25Inch仕様にてオーダーしております。
テンション感がロングスケールよりも少し弱くなる事で、柔らかい生鳴りを持ち、程よい張り感が残る様な仕上がりとなりました。
ネックがUVシェイプになっている事も手伝い、演奏性も非常に高いギターとして仕上がっております。
ローポジションでは握り込む様なプレイに適しており、ハイポジションではリードプレイ等、フレット上を駆け回る様なプレイやチョーキングを多用する様なプレイに大変適したしたシェイプとなっております。
ジャンル的には、ジャズ系は勿論の事、ブルースやカントリー、ロック系とも相性が大変良いので、P-90系のサウンドがお好みの方には是非お試し頂きたい個体でございます。
以下メーカーに関する説明文でございます。
まずRed Houseを一言で表現するのならば、"なんでも作れる万能屋"であると私は考えております。
世間一般的に万能という言葉は、その言葉通りの良い意味合いではあるものの、その裏には"特徴が無い"や"根幹となるべき芯が無い"という見られ方をしてしまう事もございます。
あえてマイナスの要素を併せ持つ万能という言葉を選択したのかと言えば、Red Houseはマイナスの要素を一切持たない万能性を体現した、珍しいブランドであるからこそでございます。
Red Houseの万能性を語る上でまず知って頂きたい点は、Red House Guitarsの成り立ちです。
今でこそRed Houseは一つの楽器ブランドとして認知されておりますが、もともとはギターのリペアやギターのOEM生産(他ブランドの楽器を代理で生産する工場)をメインに行っている会社という面が強い会社でした。
OEM生産を行うという事は、他ブランドが生産を委託しても問題が無いと判断をする程の技術力とメーカーとしての信頼性が極めて高い事の現れでもあるのですが、生産をする上での大きなメリットがございます。
それは、"他社のノウハウや技術、アイディアを自らのノウハウへと変換し、沢山の経験を積む機会を得る"という事でもあります。
Red Houseの石橋社長は良い楽器であれば仕事を選り好みしなかった事もあり、ビンテージタイプのトラディショナルな楽器から最新鋭のモダンな楽器まで幅広く生産してきました。
そしてリペア工房としての側面に関しても、今のRed Houseらしさに繋がる要素が大きく詰まっております。
Red Houseは先述の通り、リペア工房としても長年取り組んできたブランドでございます。
通常のリペアも多く取り組んでいたのですが、Red Houseへの依頼で多かった内容というのも、
"現場で使える調整をして欲しい"や、"あともう少し○○な音になれば良いのに……"や、"単体で弾く分には良い音なのに、バンドで合わせる等アンサンブルで使用すると音が埋もれる"等といった、プレイヤーの悩みの種を解消するリペアが多かったとの事です。
Red Houseはこういった、プレイヤーにとっての悩みや現場環境での楽器演奏という、ただの楽器製造メーカーとしては中々経験する事の無い、プレイヤー目線の不満や問題点、要望に触れ続けた稀有なブランドとなりました。
こうして長年積んだOEM生産による多種多様なギターの製作経験が、現在のRed Houseというブランドの特徴に大きく表れているのです。
Red Houseのギターは、基本的にハイエンドならばハイエンドギターとしての特徴が色濃く表れ、ビンテージタイプのギターならば豊かな倍音感等を強く感じる事が出来るギターを創り出します。
国産・海外製問わずハイエンド系が得意なブランドはトラッドなギターもハイエンド系の匂いが残り、ビンテージタイプが得意なブランドはハイエンド系を作らなかったり、ハイエンド系に欲しいサウンドの安定性が損なわれたギターを作ってしまうブランドが多い中、このようにギターの特徴に合わせて最適なサウンドを創り出す事が出来るブランドはかなり希少でございます。
さらにRed Houseは木材にも相当拘っており、ただ材木屋から木材を仕入れるのではなく、社長や職人が実際に材を確認しながら、サウンド特性に優れた材を選定しております。
一枚一枚の材を丁寧にセレクトしているからこそ、Red Houseのギターは値段以上のサウンドを味わう事が出来るのです。