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2022年初春に当店担当は愛知県春日井市にあるBizen Worksの工房へ伺いました。
今回の訪問の目的は当店移転一周年記念モデルの製作をする為で、珍しい材や最上級の木材の選定を最大の目標としてBizenの木材倉庫を漁らせて頂きました。
結果から申し上げますと大豊作でございました。
別の個体も含め、一際目を惹く極上の木材のセレクトに成功いたしました。
こちらの個体は、まさかの"トップ材の厚みを取る事の出来るローズウッド"で、木目の感じも非常に鮮やか且つ激しい動きを感じさせる極上のローズウッドでございました。
個人的には当個体の色味に一目惚れを致しました。
これぞ紫檀と喝采をしたくなるほどに紫がかった色っぽい見た目であった上にこれほど見事な杢目をしていれば、木材好きとしては興奮しないわけがありませんでした。
しかし、これほど見事なローズトップであっても、ギターとして仕上げると意外とのっぺりとしてしまうという事が多いので迷ったのも事実でございます。
そこで、メリハリと高級感を共に引き出す事が出来る様に、ボディー外周部にアバロンのパーフリングを取り入れる事に致しました。
実際にギターが完成した今、実機を眺めてみても当時の判断は大成功だったと思えます。
シックなローズトップの魅力を引き立てる様にアバロンがしっとりと光輝く事で、大変美しいギターに仕上がりました。
ボディーの塗装をサテンではなく、グロス仕上げにしたのも功を奏しました。
サテンの落ち着いた雰囲気もかっこいいのですが、グロス塗装の高級感が今回は特にマッチしたと感じております。
トップ材が決まった次は、指板材とボディー材の選定です。
当店担当がBizenでギターをオーダーする際に揺らがすことのない絶対的なコンセプトがございます。
"妥協の一切ない最高級のサウンドを持つギターを作る"
この一点のみを最上位の理念として材を選定致しました。
まずは指板材のブラジリアンローズウッドの選定です。
Bizenさんが持つハカランダは沢山あり、ルックスに優れた真っ黒なハカランダと、白めなルックスの茶ハカランダ等が多々ございました。
楽器店や個人オーダーの定石で言えば、音は二の次で真っ黒なハカランダを選ぶべきです。
しかし上記の理念を掲げているが故に、サウンドを第一優先としてあえて黒ハカランダと茶ハカランダのルックスは全く問いませんでした。
工房にある全ハカランダを指でタッピングしながら良い音とそうでない個体に振り分けていき、それを何度も繰り返す事で数枚のハカランダまで絞り込みました。
サウンド選定の基準としましては、薄めの金属を叩く様な硬質で凛とした心地の良いサウンドをしているかどうかで良し悪しを絞り込みます。
特に音が良いハカランダを選んだところで、ローズウッドトップにふさわしい漆黒のハカランダを選定し、今回のモデルに割り当てました。
ボディーやネックに使用するホンジュラスマホガニーも勿論選定をしております。
ホンジュラスマホガニーは、所謂ビンテージのレスポールに使用されていたマホガニーで、今となっては新たに切り倒して供給される事のない、非常に希少な木材です。
現代の楽器作りのメインとなっているアフリカンマホガニーにと比べるとホンマホはサウンドに透明感があり、尚且つミッドが心地よく持ち上がり、サウンド全体に温かさを感じる事が出来る最高のトーンウッドです。
そんなただでさえ希少なホンジュラスマホガニーですが、ワンピース用のボディー材をさらに選定をし、軽量且つ鳴りが良い材を選定致しました。
ネックに関しましてもしっかりと詰まっており、鳴りが良い材を選定致しました。
レスポールタイプはどのブランドも大体4kg前後の重量となってしまいますが、この個体に関しましてはアーチトップであるにも関わらず重量はわずか3.59kgと、ストラトと殆ど変わらない重量になりました。
ギターの全体の鳴りとしましても、爆鳴りと評しても良い程の生鳴りをしており、アンプからもハッキリと飽和感を味わう事が出来る程でございます。
パーツ類は強度とサウンドを考慮してエボニーを採用致しました。
実はBizenさんの方針でパーツ類はウッドパーツが使用不可となりブラックダイアモンド(樹脂)が標準となったのですが、今回は特別にエボニーで仕上げて頂きました。
こうして出来上がったこちらの個体ですが、アンプを通したサウンドは驚く程優れたサウンドを誇ります。
一般的にハムバッカーと言えば、確かにハムバッカーはパワーがある反面、音に輪郭が無くボヤっとした音像になる印象が無いでしょうか。
実際にそれは間違っていないのですが、ビンテージのレスポール等といった本当に良いハムバッカーのギターは、ハッキリした輪郭や歯切れのよい軽快さをも併せ持ったサウンドをしております。
その様なギターは現代では中々目にする事は無いのですが、この個体からはそのような最高のハムバッカーサウンドを味わう事が出来ます。
クリーンでは勿論の事、クランチサウンドでもシングルコイルと見間違えてしまう程のサウンドを誇り、リードサウンドでははっきりとしたエッジ感と心地の良いハムバッカーらしいパワー感を味わう事が出来るのです。
これならばレスポール好きやハムバッカー好きは勿論の事、シングルコイルをメインで扱うプレイヤーにとっても、手に取りたいサウンドであると確信しております。
Grainはレスポールを意識強く意識して製作されておりますが、ただレスポールをコピーしただけのモデルではありません。
レスポールシェイプながらも演奏性を追求しており、その結果群を抜いて優れた演奏性を持つシェイプへとブラッシュアップしております。
レスポールシェイプながら25インチスケールを採用し、ネックも左右非対称で少し肉厚なネックシェイプを採用する等、いかに演奏性を高め、サウンドも満足出来るレベルまで高められるかを追求しております。
この様なレスポールタイプはBizen以外にはお目にかかる事は無く、故にオリジナリティーを発揮しているのです。
是非一度お試し下さいませ。