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山口県にてフルオーダーギターを始めとして、様々なギターやベースを製作・販売しているプロビジョンギターから新製品が発表となりました。
これまでProvisionは、SISHAMOの宮崎朝子シグネーチャーモデル等といったアーティストモデルや、F社やG社のビンテージリイシューモデル、そしてオリジナルモデル(Karakusa等)を製作してきましたが、とうとうディンキーシェイプギターが通常ラインナップ品として発表されました。
ディンキーシェイプといえば、CharvelやJacksonといったイメージが強いですが、最近国産・海外製問わず多くのブランドがディンキーシェイプギターに注目し製作をしております。
そんな群雄割拠のディンキーシェイプ市場に戦いを挑んだProvisionの490シリーズはどのような特徴を持つのかご説明させて頂きます。
当モデルのサウンドの特徴は大まかに分けて、以下になります。
・透明感と分離感に富んだハムバッカーサウンド。
・ディンキーシェイプながらも、迫力のある低音。
・オールジャンルで活躍出来る万能なサウンド。
ざっくりと言えば上記3点が当個体のサウンドを最も良く言い現していると私個人は考えております。
こちらのモデルは専用のピックアップが採用されておりますが、元々Provisionが使用していたピックアップでは無く、当モデルの為に製作した最新のハムバッカーとなります。
元来プロビジョンが使用しているハムバッカーは、Ginson社の1959年製PAFをコピーしたものでございますが、当モデルはPAFをベースにしながらも、よりクリアな高域が出る様にチューニングし、その上でコイルのターン数を増やした事で歪みの乗りが良くなる様に製作されました。
こういった背景を聞く前に当個体を試奏しましたが、やはりクリアで一音一音が煌びやかに分離してくれる印象を強く抱きましたので、お客様がご試奏された際にも近い印象を抱いて頂けるのではないでしょうか。
2H仕様ですが5Wayの中でシングルコイルサウンドも楽しめるので、80年代のギターの様なハムバッカーサウンド一辺倒という感じでは無く、むしろ幅広い守備範囲を持つ上で、特にごっついハムバッカーサウンドを得意とするギターという印象でございます。
こちらの490シリーズは、KTSのチタンをジョイントプレートに採用している事も大きな影響を与えております。
通常鉛や鉄、アルミ等といった金属がブリッジパーツに使用されますが、高価なチタンは殆どそういったパーツに使用される事はありません。
高価故にコストの面でパーツメーカーはチタンを使用しませんが、サウンド面に大きな影響を与えてくれます。
チタンは通常のパーツと比べるとサウンドがクリア且つ鋭敏なレスポンスを創り出す一因となる上に、ロングサスティンまでもを創り出す、音楽的に有用な金属でございます。
こちらの個体の分離感の良さやレスポンスの速さはKTSのチタンパーツを各所に採用した事から生まれた事が予想されます。
これらピックアップとチタンパーツの組み合わせにより、上記の様なクリアなサウンドが生み出されている訳ですが、これらの特徴は歪ませた際にも大変良い影響を与えております。
サウンドの一音一音がしっかりと分離してくれる為、クランチサウンドのキレであったり、ハイゲインサウンドのエッジ感といい、サウンドの輪郭に関わるポイントがかなり優秀な仕上がりとなっております。
どれほど歪ませてもコード感やピッキングニュアンスがかなり正確に出てくれるので、刻みやカッティングを重要視するプレイヤーは是非一度当モデルをお手に取って頂きたいです。
逆に、混沌とした音圧の塊をぶつける様なサウンドメイクを好まれる方は、Toneを5程度に絞った状態でプレイをすると、お好みのサウンドをドンピシャで出す事が出来ると思われます。
こういったサウンドメイクの幅広さが功を奏して当個体はクリーンでもオールマイティーなジャンルで使用が可能なサウンドへと昇華されました。
アルダーらしくカラッとしたサウンドと相まって、太くも甘いフロントPUサウンドはミッドを少し強めに上げたアンプとの相性が抜群に良くなっております。
ハムバッカーらしい太さと甘さを持つものの一音一音に確固とした芯がある為、後が後ろに引っ込む・メリハリが無くなるといった事も発生致しません。
個人的には、ドライブサウンドとリードサウンドの中間程度のゲイン量でハードロック系のサウンドをプレイするのが大変好ましいと感じました。
特に歪ませた際に当個体の低音の迫力が増すので、サウンド全体にガッツが生まれ、荒々しいサウンドとの相性が抜群に良くなります。
その上、リードプレイ等をする際にもスカスカなサウンドには一切ならないので、バンドアンサンブルでも抜群の音抜けと存在感を発揮すると思われます。
ディンキーシェイプ故に演奏性も高く、取り回しにも優れたギターとして仕上がっているので、身体の大きさや性別関係なく気軽に手にする事が出来るギターです。
本当にどのようなジャンルの方にもおススメが出来るので、一度当個体をお試し下さいませ。
以下メーカー説明文です。
山口県宇部市にて1988年より10人以下の少人数でギターの生産をし続けているProvisionは国内でも数少ない、フルオーダーの対応をしているギター工房です。(現在も受け付けております)
ボディーシェイプやサウンド、仕様等、フルオーダーで理想のスペックを求める夢はあれど、プレイヤーの理想のサウンドとかけ離れたオーダー内容ならばメーカー側がアドバイスをし、その上で作りたいギターのブラッシュアップを行います。
こういった、大変な案件が多いからこそ殆どのブランドはセミオーダーのみの対応となってしまうのですが、プレイヤー目線でプレイヤーの為にギターを製作する事を理念として掲げて来たProvisionはフルオーダーを創業開始以来受け続けてきました。
Provisonはそういった、人の夢を叶える為にギターを製造し続けた事で、職人の腕やノウハウ、経験は他ブランドの職人と比べても卓越した水準へと成長しました。
今でこそ知名度が高くなりましたが、彼らの理念や信念は今なお変わる事無く続いております。
それはフルオーダーモデルだけに限らず、セミオーダーやレギュラーラインに於いても全力を尽くし、プレイヤー目線の楽器を作り続けております。