2011年12月、パーカー氏の後任として同部門の担当に就いた人物がアントニオ・ガローニ。 WAの中でも、とりわけワイン関係者間の支持が際立つ批評家であり、行く末は同誌の後継者と目される時期もありました。 ▼ そんなガローニが、WAのレビュワーに着任するや否や... ⇒ エクストラオーディナリー戴冠(WA最上位タイトル:96pts以上) ⇒ 初批評より14ヶ月を経たガローニがWAを辞職 ⇒ それを境にWAとコリソンの関係が再び断絶 ⇒ スティーヴン・タンザーと電撃合流したガローニが新規媒体、ヴィノス -Vinous-を発表 ⇒ ヴィノスでは97-98点の高評価を立て続け。 (100点が発表されぬタンザーの評点とはことさら厳格な基準で通り、その尺度の下では傑出年の五大シャトーでさえも97点に達する時は稀) あたかもパーカー氏を揶揄するかの如く、以下のようにも述べられました。 ■ 「ナパ・ヴァレーで最も見落とされた醸造家の一人。」(アントニオ・ガローニ) (“Cathy Corison, one of Napa Valley's most overlooked winemakers.”) “黒葡萄の王”カベルネ・ソーヴィニヨンの聖地に居ながらも、需要と価格を大きく左右する有力批評家のお眼鏡にかなわぬばかりに、売れ行きに影響を及ぼす時も過ごしました。 そのような中でも世の潮流に惑わされることなく、キャシー・コリソンさんのワインに表わされるアイデンティティは、一貫して変わることなくあり続けたものです。 ■ 「世界一の醸造家」に選出 2011年9月にナパでお会いした折に自社輸入による蔵出を直談判し、帰国後のeメール交換に続きます。ところがその年の暮れ、アンチ・パーカー派の急先鋒ジョン・ボネが、「世界一の醸造家」として“Winemaker of the Year”の称号を献上。 多方よりラブコールを受けたワインはSold Outとなり、私の片想いは夢と散りましたが、3年後に東証一部上場ワイン商社の交渉が奏功し、日本向け蔵出の実現に至ります。
《コリソン》 カベルネ・ソーヴィニヨン “クロノス” 2003 正規再開記念として、コリソンより特別提供されたライブラリー・バックヴィンテージ。 蔵出時のワイナリー発表によれば、直近ヴィンテージであってもレギュラー・ボトル(750ml)のクロノスは“SOLD OUT”。代わりに大型ボトルのライブラリーストック価格が公表されますが、以下ご覧の通り、邦貨換算と容量比率からすれば、むしろ安いのは日本の価格です。 ■2000年3.0L:$1575.00 ■2002年1.5L:$495.00 ■2003年1.5L:$495.00 ■2003年3.0L:$1300.00 ■2004年3.0L:$1300.00 ページ上部にある各ワインジャーナリストのコメントは極一部の抜粋です。 ではあっても、ご覧のように、幾人もが卓抜の長期熟成ポテンシャルに言及する1本がコリソンのカベルネ。私的にもセラー所蔵に欠かせぬ銘柄です。 ▼ 上記、スティーヴ・ハミルノフ氏が述べる「当の品」がこちら。 「もしもセラー用に選択するならばこの一本がそれに見合う。熟成により更なる真価を発揮する。」 If you choose one wine to stick in the cellar from the ’03 vintage, make it this one. It’s so dry, balanced and complex. The heart of blackberries and red currants is opulently rich, with overtones of cedar, pencil lead, red licorice and sweet dried herbs. Brings to mind a classic Rutherford Cab. As delicious as the wine is now, especially with decanting, it really will benefit from aging. ■ ワインにオーラを醸し出す「人となり」 ナパでキャシーにお会いした2011年9月、NVV(ナパ・ヴァレー生産者団体)の関与から、様々なワインが比較試飲できる場が設けられました。密度高く引き締まりのある体躯に比肩するものはなく、コリソンの前にあっては某カルトワインは焦げたジャムか脂肪の塊か...(ちなみにRP98) 社交的に着飾る関係者が目立つ中、作業服と思しき地味な井出達で独り静かにたたずむキャシー。 そこで尋ねました。「仮にボルドーなら好きな銘柄は?」 すると「デュクリュ・ボーカイユ」と...渋い。 自作を五大シャトーに準える不届き者もいる中、慎み深いお方です。 残糖を感じさせぬ極みであり、その酒質から「今日の中で貴女のワインこそがグランヴァンと呼ぶに相応しい。」と伝えれば、軽く笑みを浮かべ「ありがとう。ナチュラルでいるだけ。」と返答されました。 女史の造りには、補酸に補糖も許されません。 畑内の作業工程を重んじるヴィニュロンとして、手の込んだ小細工を拒む言葉でもあるでしょう。 過去の経歴が証すように、確かな技法を身に着ける方です。但しテクニックに奢る言葉は聞かれることなく、自身の信条を次のように著します。 「力感と気品の狭間にある微妙な境界線を見極めた複雑性備わるワインを求めたい。その為には伝統技法に徹し、自力に水を差すような接し方を避ける。葡萄畑の話を聞いてあげることが私の仕事だから。」 飾らぬ姿勢に併せ苦労を重ねた方らしく(後述参照)、掌に目をやれば、そこには労力の疵も。 現場の作業を助手任せとするどこぞの身奇麗なタレント醸造家とは違い、心に響く魅力を持つ方です。 ■ ラザフォード北西部とセントヘレナ南西部が接する小地区に特有のテロワール 創立は1987年。ナパ・ヴァレーのメインストリート、R29号線をオーパス・ワンより北に10km程を進むと、手入れの行き届いたコリソンの畑とワイナリーが現れる。ラザフォードとセントヘレナの両地区(AVA)が接する辺りの西側ナパ・ヴァレーに属し、そのすぐそばに望むは「ラザフォード・ベンチ」 原産地呼称を等しくしても、オークヴィルからセントヘレナにかけては、東西に分け語られる時が少なくない。 辺り一帯も同様であり、総じて西側のエリアにカベルネ・ソーヴィニヨンの銘品輩出比率が高まる。 その理由として度々挙げられる要因が「ラザフォード・ベンチ」 当地の産出に独自色を映し出すことで知られる、段丘状から成る地勢の名称である。 ラザフォード・ベンチの影響を受ける辺りは、水捌けに長けることではナパ・ヴァレーでも有数の小地区として通り、また、葡萄の香味成分生成にも強いアドバンテージを持つ土壌の組成が伝えられる。 その効果として特色付けられる風味のニュアンスが、「ラザフォード・ダスト」と呼ばれるミネラル感。 界隈の生産者が当地のワインを語るにあたっては、必ずや述べられるテロワールの表れであり、それを称してキャシー・コリソンは「私の知り得る限り、カベルネ・ソーヴィニヨンにとっては世界で最高の場所の一つ」と語る。 【品種構成】カベルネソーヴィニヨン100%【原産地呼称】ナパヴァレー>セントヘレナAVA【タイプ】[赤] フルボディ Full【内容量】750ml
加州で最も敬われる偉大な女流醸造家、キャシー・コリソン作
フレンチ至上主義者も感服の「ボルドー格付けでも一握りのトップシャトーに準ずる質」伝統銘醸のベクトルに沿うナパ・カベルネ特級格の王道ど真ん中
《コリソン》 カベルネ・ソーヴィニヨン “クロノス・エステイトヴィンヤード” セントヘレナ, ナパ・ヴァレー 2003
ロバート・パーカーとの間に確執も囁かれましたが、「伝統銘醸のベクトルに沿うナパCAB」を語る時、名立たるエキスパートのほぼ誰もが賞賛の声を惜しむことなく、筆頭候補に挙げる造り手がキャシー・コリソン率いるコリソン。
「DRC醸造長の誘いを蹴った」とのキャッチで知られる某ブルゴーニュを発掘した仏ワイン輸入業者の元チーフバイヤー曰く、「こんなワインがあったなんて世の中は広い。五大シャトーに遜色が無い」と。
さりとてキャシー・コリソンさんは五大シャトーを理想像に挙げません。
女史が好むワインとは… (後述参照)
味わいのみならず多くを知って頂きたい造り手です。
僭越ながら、私が最も敬愛するワイン産業従事者がキャシー・コリソン。卓抜の作風もさることながら、想いはワインそのものに限るばかりでもありません。
波長によるものか、女史の作には「人となり」が醸し出す悲喜こもごものオーラを感じます。
教科書通りの「売れるワイン」造りにいそしむ醸造家には重なりません。
■ 確執が囁かれたロバート・パーカーとの関係
世界的権威の間で評価が確立される中、冒頭には「あのお方」のコメントが含まれません。
本来は穏やかなコリソンさんですが、そりの合わない人物も伝えられます。近しい関係者によると、2011年に発表されたパーカー氏のセミリタイアに話が及ぶや「Yes!」と感情を露わにしたとか。
相応の経緯があってのことでしょう。長い間、パーカー氏率いるワインアドヴォケイトへはサンプル提供されることなく過ごしたと聞きます。(RP評価は90年代前半の4度と2000年代に1度限り)
2011年12月、パーカー氏の後任として同部門の担当に就いた人物がアントニオ・ガローニ。
WAの中でも、とりわけワイン関係者間の支持が際立つ批評家であり、行く末は同誌の後継者と目される時期もありました。
▼ そんなガローニが、WAのレビュワーに着任するや否や...
⇒ エクストラオーディナリー戴冠(WA最上位タイトル:96pts以上)
⇒ 初批評より14ヶ月を経たガローニがWAを辞職
⇒ それを境にWAとコリソンの関係が再び断絶
⇒ スティーヴン・タンザーと電撃合流したガローニが新規媒体、ヴィノス -Vinous-を発表
⇒ ヴィノスでは97-98点の高評価を立て続け。 (100点が発表されぬタンザーの評点とはことさら厳格な基準で通り、その尺度の下では傑出年の五大シャトーでさえも97点に達する時は稀)
あたかもパーカー氏を揶揄するかの如く、以下のようにも述べられました。
■ 「ナパ・ヴァレーで最も見落とされた醸造家の一人。」(アントニオ・ガローニ)
(“Cathy Corison, one of Napa Valley's most overlooked winemakers.”)
“黒葡萄の王”カベルネ・ソーヴィニヨンの聖地に居ながらも、需要と価格を大きく左右する有力批評家のお眼鏡にかなわぬばかりに、売れ行きに影響を及ぼす時も過ごしました。
そのような中でも世の潮流に惑わされることなく、キャシー・コリソンさんのワインに表わされるアイデンティティは、一貫して変わることなくあり続けたものです。
■ 「世界一の醸造家」に選出
2011年9月にナパでお会いした折に自社輸入による蔵出を直談判し、帰国後のeメール交換に続きます。ところがその年の暮れ、アンチ・パーカー派の急先鋒ジョン・ボネが、「世界一の醸造家」として“Winemaker of the Year”の称号を献上。
多方よりラブコールを受けたワインはSold Outとなり、私の片想いは夢と散りましたが、3年後に東証一部上場ワイン商社の交渉が奏功し、日本向け蔵出の実現に至ります。
《コリソン》 カベルネ・ソーヴィニヨン “クロノス” 2003
正規再開記念として、コリソンより特別提供されたライブラリー・バックヴィンテージ。
蔵出時のワイナリー発表によれば、直近ヴィンテージであってもレギュラー・ボトル(750ml)のクロノスは“SOLD OUT”。代わりに大型ボトルのライブラリーストック価格が公表されますが、以下ご覧の通り、邦貨換算と容量比率からすれば、むしろ安いのは日本の価格です。
■2000年3.0L:$1575.00 ■2002年1.5L:$495.00 ■2003年1.5L:$495.00 ■2003年3.0L:$1300.00 ■2004年3.0L:$1300.00
ページ上部にある各ワインジャーナリストのコメントは極一部の抜粋です。
ではあっても、ご覧のように、幾人もが卓抜の長期熟成ポテンシャルに言及する1本がコリソンのカベルネ。私的にもセラー所蔵に欠かせぬ銘柄です。
▼ 上記、スティーヴ・ハミルノフ氏が述べる「当の品」がこちら。
「もしもセラー用に選択するならばこの一本がそれに見合う。熟成により更なる真価を発揮する。」
If you choose one wine to stick in the cellar from the ’03 vintage, make it this one. It’s so dry, balanced and complex. The heart of blackberries and red currants is opulently rich, with overtones of cedar, pencil lead, red licorice and sweet dried herbs. Brings to mind a classic Rutherford Cab. As delicious as the wine is now, especially with decanting, it really will benefit from aging.
■ ワインにオーラを醸し出す「人となり」
ナパでキャシーにお会いした2011年9月、NVV(ナパ・ヴァレー生産者団体)の関与から、様々なワインが比較試飲できる場が設けられました。密度高く引き締まりのある体躯に比肩するものはなく、コリソンの前にあっては某カルトワインは焦げたジャムか脂肪の塊か...(ちなみにRP98)
社交的に着飾る関係者が目立つ中、作業服と思しき地味な井出達で独り静かにたたずむキャシー。
そこで尋ねました。「仮にボルドーなら好きな銘柄は?」
すると「デュクリュ・ボーカイユ」と...渋い。
自作を五大シャトーに準える不届き者もいる中、慎み深いお方です。
残糖を感じさせぬ極みであり、その酒質から「今日の中で貴女のワインこそがグランヴァンと呼ぶに相応しい。」と伝えれば、軽く笑みを浮かべ「ありがとう。ナチュラルでいるだけ。」と返答されました。
女史の造りには、補酸に補糖も許されません。
畑内の作業工程を重んじるヴィニュロンとして、手の込んだ小細工を拒む言葉でもあるでしょう。
過去の経歴が証すように、確かな技法を身に着ける方です。但しテクニックに奢る言葉は聞かれることなく、自身の信条を次のように著します。
「力感と気品の狭間にある微妙な境界線を見極めた複雑性備わるワインを求めたい。その為には伝統技法に徹し、自力に水を差すような接し方を避ける。葡萄畑の話を聞いてあげることが私の仕事だから。」
飾らぬ姿勢に併せ苦労を重ねた方らしく(後述参照)、掌に目をやれば、そこには労力の疵も。
現場の作業を助手任せとするどこぞの身奇麗なタレント醸造家とは違い、心に響く魅力を持つ方です。
■ ラザフォード北西部とセントヘレナ南西部が接する小地区に特有のテロワール
創立は1987年。ナパ・ヴァレーのメインストリート、R29号線をオーパス・ワンより北に10km程を進むと、手入れの行き届いたコリソンの畑とワイナリーが現れる。ラザフォードとセントヘレナの両地区(AVA)が接する辺りの西側ナパ・ヴァレーに属し、そのすぐそばに望むは「ラザフォード・ベンチ」
原産地呼称を等しくしても、オークヴィルからセントヘレナにかけては、東西に分け語られる時が少なくない。
辺り一帯も同様であり、総じて西側のエリアにカベルネ・ソーヴィニヨンの銘品輩出比率が高まる。
その理由として度々挙げられる要因が「ラザフォード・ベンチ」
当地の産出に独自色を映し出すことで知られる、段丘状から成る地勢の名称である。
ラザフォード・ベンチの影響を受ける辺りは、水捌けに長けることではナパ・ヴァレーでも有数の小地区として通り、また、葡萄の香味成分生成にも強いアドバンテージを持つ土壌の組成が伝えられる。
その効果として特色付けられる風味のニュアンスが、「ラザフォード・ダスト」と呼ばれるミネラル感。
界隈の生産者が当地のワインを語るにあたっては、必ずや述べられるテロワールの表れであり、それを称してキャシー・コリソンは「私の知り得る限り、カベルネ・ソーヴィニヨンにとっては世界で最高の場所の一つ」と語る。
【品種構成】カベルネソーヴィニヨン100%【原産地呼称】ナパヴァレー>セントヘレナAVA【タイプ】[赤] フルボディ Full【内容量】750ml
※) アンドレ・チェリチェフ:イタリアではスーパータスカン隆盛の礎を築くオルネライアで醸造コンサルを請負い、ワシントン州ではその教えをもってして甥のアレックス・ガリツィンが創立したクウィルシーダ・クリークに「6年間で4度のWA100点」を成就させた伝説の醸造家。米国ワイン産業の中興の祖にして「ナパ・ヴァレー四大偉人」(NVV見解)の一人
「キャシー・コリソンの出発点」シャペレーについてはこちらをご参照下さい >>
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