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2020年2月末に長野県松本市に在る国内屈指のギター工房"Sugi"へ伺い、木材選定及びカスタムオーダーをして参りました。
今回のコンセプトは狂気の企画"月刊DS496"を打ち出すに辺り一本物のカスタムオーダー品を作り出すことにありました。
元々芸術品の様なギターを作り出すSugiですが、当店担当の感性と嗜好をSugiの技術力と発想力で一つの形にする。
そうすることでこの世に2つと無い芸術品の様なギターが誕生しました。
そしてギターはその名の通り楽器という実用的且つ根源的存在理由がございます。
ならば、サウンドが悪いギターを作ってしまってはもはや本末転倒となってしまいます。
"最高のルックスと最高のサウンドを持つDS496"
これが当店として決して譲歩する事の出来ない、最上位の命題です。
この命題を達成する為に現地で木材選定を重ね、悔い一つ残さず満足出来る完成度を誇るDS496が完成致しました。
2020年6月より約半年間究極のDS496が毎月入荷致します。
毎月の楽しみとしてお待ち頂けますと幸いでございます。
こちらは第二弾の7月モデルとなります。
本来ならばそこまで多くのDS496を作る予定は無く、1、2本程度作る前提で松本の工房に伺ったのですが、第一弾用のバールメイプルを見繕っている内にどうしても手放し難いルックスを誇る個体を見つけてしまいました。
それがこの個体に採用したバールメイプルでした。
バールメイプルはバール部の成長過程において各個体様々且つ、同じバール材でも少し切り出す箇所が変われば大きくルックスが変わってしまう部位である為、同じルックスの材は1本として存在致しません。
とはいえども、ある程度パターンの様な共通性は生まれるのですが、この個体の様にキルトメイプルの様な杢やバーズアイメイプルの様な杢が入り乱れた個体は中々見受ける事の出来ません。
この希少な個体を見た時からどうしても当店のオーダーに使いたいという強い衝動を覚えたのですが、想定していた木材では無かったので、材発見当初は仕様等を全く考えておりませんでした。
そこでまずはサウンド重視でボディーバック材や指板材を考える事にしました。
バールメイプルは所謂ソフトメイプルと言われる部類に入る材で、トップ材に使用をしたとしてもあまり大きくサウンドに干渉をする事がありません。
大体フラットな特性を持つトップ材であるからこそ、あまり高域やミッドを際立たせない木材と合わせると最大限ボディーバック材の特性を活かす事が出来ます。
そこで選択した材がアルダー材でした。
アルダーは"枯れたサウンド"等と評される事が多いですが、実際のサウンドとしては、程よい高音域の主張と色っぽく艶やかなミッドからハイミッドにかけての帯域、そして適度に締まりのあるローミッドを持つ材です。
無駄に高域を主張させないバールメイプルであるからこそ、アルダーとの組み合わせは抜群であると考えました。
次に選定したのは指板材のココボロでございます。
ストラトやテレ等で王道の組み合わせであるアルダーとローズの組み合わせは実に理に適っており、メイプルやエボニーよりも柔らかいサウンド特性を持つローズウッドはアルダーの落ち着いたサウンドとの相性が抜群に優れております。
ローズ系の中でもハカランダやココボロは人気な材でございますが、特にココボロはローズ系の材の中でも特に多く油分を含んでおり、サスティーンの向上や、甘みのあるローミッドに強く影響します。
指板材を選定するに当たってタッピング(材を叩いてのサウンドチェック)をした中でも特に音の良かった材をセレクトしているのですが、そのサウンド的に選りすぐりのココボロ材の中でも最も色が濃く、漆黒のハカランダの様なルックスを持つこの材をセレクト致しました。
サウンド選定の基準としましては、特に高音域が澄み渡っており鳴りや残響感に優れた材を良い個体としてセレクトしております。
全ての材を選択した後に、この個体に採用するカラーを熟考致しました。
前述の通り、この個体に使用したバール材はキルトやバーズアイの様な様々な杢目が現れている材であった為、ダークな色合いよりも明度が高く鮮やかな見た目のルックスの方が映えると予想されました。
しかしながら指板材はむしろダークで落ち着いたルックスの材を使用しております。
そこで椙本社長に私のイメージを伝え、長年ギターを製作して来た豊富なノウハウを基に提案して頂いたのが、シースルーブラック系のカラーからブルーへとフェイドさせていく"サファイア"というカラーでした。
実際に完成したこちらの個体の画像をご覧頂いても明確な様に、最高なルックスを誇る仕上がりとなっております。
特にブラックとブルーの中間色に配置された深い紫色がアクセントを生み出すと同時に、この個体の美しさを強調してくれており、個人的にはベストカラーであると感じております。
杢目それぞれの表情もカラーが変わる事で様々な表情を見せてくれており、杢目フェチであろうとなかろうと魅惑する極上の美を作り出しております。
落ち着いた雰囲気と華々しい雰囲気という、矛盾すべき要素が矛盾せずに成立した当個体は、奇跡的なバランスによって成立した芸術品です。
ネックには、水底に沈んでいたメイプル材を使用したアクアティンバー・メイプルを採用しております。
近年、木材が枯渇した・質の良い木材が殆どなくなってしまった等といった、木材の質そのものに関する悲鳴は楽器業界問わず木材を扱う業界各地で挙げられています。
もちろん植林も進めてはおりますが、木は何十年数百年をかけて成長していく資源である為、消費と生産(木の成長)のバランスが大きく消費の方へ崩れてしまい、21世紀に入ってからは顕著に木材不足問題が発生しました。
しかしそれでも木材の需要は衰える事はありません。
その結果、今まで伐採を間逃れて来た別種の類似材を使用する、または成長しきっていない若い木材を使用するといった手段を講じざるを得なくなり、木材の品質が落ちていくという悪循環に陥ってしまっているのです。
そんな現代の木材問題の解決を図った新しい手段が考案されました。
それが"アクアティンバー材"という木材の使用でした。
アクアティンバー材とは、いわば湖や池の水底に沈んでいた木材を指します。
これは、ただ沈んでいた材ではなく以下の基準を満たしたものをアクアティンバー材として認められております。
・北アメリカの五大湖や港湾、水路に沈んでいる木材。
・西暦1000年～1500年頃に生えていた材で、樹齢は500～1000年程度の木材。
・19世紀中旬から20世紀初頭に伐採され水底に沈んだ木材。
この基準を満たした木材を引き揚げ乾燥をさせた木材がアクアティンバー材の認定を受けております。
アクアティンバーメイプルを使うメリットとしては、木そのものが良質だった頃の木材を使用出来るという点になります。
また、昔の木は日照時間の関係からゆっくりと成長する為、幹は細くなり非常に密度のある木材であるという特徴もございます。
そういった優良な木材を現代でも使用する事が出来る。
これがアクアティンバー材をSugiが愛用する理由なのです。
Body Top : Premium Grade Burl Maple
Body Back : 2-Piece Alder
Neck : Aqua Timber Maple (Recoverd Maple)
Fingerboard : Cocobolo
Scale:628mm(Medium Scale)
Frets:22F Nickel
Pickups : Sugi Original Humbucker
Tuning Machines : GOTOH SG503-07 HAP
Tremolo : Wilkinson by GOTOH VG300
正規保証書、Gig Case付属
詳細はお問い合わせ下さい。
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