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2000年度本国リマスターとなります。
音の輪郭が角張る、低音の強調等々幾分現代的な音像の感がございますが、非常に良心的な音質となっております。
内容は言わずもがな。
ラインナップは全盛期名手揃い。
Robbie Robertson(G)、故Levon Helm(Ds、Vo、G、Mandolin)、故Rick Danko(B、Vo、Fiddle、Trombone)、Garth Hudson(Key、Horn
)、故Richard Manuel(Key、Vo、Beritone Sax、Harmonica)となります。
プロデュースは前作同様John Simon。
1968年末~1960年初頭L.A.”Pool House”での制作となります。
そもそも非常に長いキャリアを誇るバンド。
1957年後期にLevon Helmが基礎RR系ミュージシャンRoger Hawkinsのバックバンド”The Hawks”に参加した事から始まります。
紆余曲折を経て1961年末までにRobbie Robertson/Rick Danko/Richard Manuel/Garth Hudsonが揃い活動するも、1963年後半に独立。
バンド名を変えシングル楽曲を制作リリースするも鳴かず飛ばず。
また、かのルーツ系ブルーズ・ミュージシャン”Sonny Boy Williamson”(Eric Clapton期The Yardbirdsとの共演で御馴染み)との邂逅を経るも活動叶わず、Sonny Boy Williamsonは死去の憂き目に遭う事となります。
されどアルバム”Highway 61 Revisited”で”Electric系フォーク”という新分野を指向したかの”Bob Dylan”と1965年に邂逅。
ツアーのバックバンドを務め、”Bob Dylan The Band”の名称を得
る事となります。
賛否両論を呼んだツアー後に作品制作に入るものの思う様な成果は得られず、Levon Helmが一時脱退。
Robbie Robertson/Rick Danko参加でBob Dylan新作”Blonde on Blonde”を制作し、ツアーに出、反響を得るものの賛否両論。
その後1966年7月29日にBob Dylanはバイク事故を起こし、活動停止。米国ニューヨーク”Woodstock”で静養する事となります。
その後”The Hawks”として活動するものの再びBob Dylanからの制作参加要請を受け、”Woodstock”に拠点を構える事となります(御存知!かの”Big Pink”)。
その後Levon Helmが復帰。1967年10月までBob Dylanとの制作を続ける最中、マネージャーがレコード会社を接触。契約を締結する事となります。
”かのBob Dylanのバックバンド”という実績から契約。
当時は仮に”Cracker”というバンド名で契約致しますが既に”Bob Dylan the Band”という名声を博しており、そこから”The Band”(笑)と名称を変更する事となります..........何かねぇ..............
Bob Dylanとの制作で既に録音機材を本拠地”Big Pink”に持ち込んでいた事があり、1968年初頭に制作。
L.A.の”Capital Studios”で追加録音とミキシングを行い、
1968年7月1日にデビュー作”Music from Big Pink”をリリースする事となります。
当時はロック音楽の多様性という時代。
演奏・創作エゴを全面に出した時代という事があり、The Bandの指向する”想像された米国ルーツ音楽のロック化”は非常に異色のもの。
セールスは思う様に揚げられる事が無く、後にRobbie Robertson自身も1968年にリリースされた不思議な作品と自嘲する有り様。
されど、ミュージシャンを中心に根強い支持が集まる事となります。
(演奏エゴに疲れ、更には執拗な批判に晒された当時”Cream”のかのEric Clapton曰く「The Bandのメンバーになりたかった」とも......)
ツアーも絡み1968年~1969年に掛け、新作を制作。
ニューヨークでの制作が上手くいかず、L.A.へ移行。
”Poolhouse”という住居に機材を持ち込み再び制作に打ち込み、1969年9月22日にようやくリリース................という経緯がございます.........................
さて今作。
セールス/チャートアクションは兎も角大きな反響を呼んだ前作を踏襲しているものの、よりベーシックな感のある音楽性。
また(Robbie Robertson以外の)マルチプレーヤー的な感のあるメンバーの特徴を生かした楽曲が目立つものでございます。
前作よりも躍動感が強いものではございますが、演奏・アンサンブルや楽曲の纏まり・洗練度は高まっており、予算のみならず音楽性の反響から来る自身が伺えるものでございます。
Robbie Robertsonの楽曲が殆どを占めておりますが、
原曲提供は誰であれメンバー誰もがアイデアを持ち寄り積極貢献したという
バンドによる貢献という感がございます。
正直、前作の方が印象深い楽曲が揃うという感がございますが、今作は音楽性をよりベーシックにという狙いがある感がございます。
前作を遥かに凌ぐ成功を収めますが「前作あっての今作の音楽性」という感があり、前作との二枚組と捉えられる感がございます。
デモ感が強かった音造りから脱却したものの温かみの有る厚みのあるものを指向。
但し、前作同様の宅録。
かのSammy Davis Jr.所有の邸宅を借り録音機材を持ち込み、音響に適した部屋を用い録音。
安心して生活出来る生活空間を設けて制作に臨むという独特のもの。
前作同様にスタジオでの作品制作の緊張感から解放されている事が作品からも伺えるものでございます。
この有り方が後にThe Rolling StonesやLed Zeppelinの作品制作の有り方に影響を齎す事となります........................
公民権運動でのヒスパニック/黒人の台頭そして”Woodstock”それに絡むSantanaの登場等があるもののベトナム戦争からくる厭世感やキング牧師の暗殺等々重なり、
The Beatles解散や時代を象徴したかのJimi Hendrix/Janis Joplin/Jom Morrison等が後に死去。
そしてJefferson Airplaneのビジネスに絡む醜い騒動。
(かのJames Taylor名曲”Fire and Rain”のモチーフでございますが.......................)
時代を象徴するイベントが終わり、祭りの後の虚無感という時代がやってまいります...............................
またJames TaylorやCarol King等々内省的な歌詞を紡ぐS&SWの登場・台頭という時代が変化しつつある頃。
The Bandの音楽性に共鳴する聴衆が急激に増えていく事となります.....................................................
アメリカ保守回帰という中で今度は大反響を呼び、セールス/チャートアクションが大きく前作を上回り、ツアーも大好評。
バンドは順風満帆となります。
されど、この辺りからRobbie RobertsonとLevon Helm等他のメンバーとの作曲クレジット等に絡み確執が始まる事となります。
正直The Bandはカナダ出身の4名とテキサス州出身のLevon Helmのバンド。
「想像された米国ルーツ音楽のロック化」という感のあるバンドでございます。
アメリカルーツ音楽系ロック(The Bandの四名はカナダ出身でございますが...........................)興隆一時代のみならず、
当時のアメリカならではの音楽性の感がある”サザン・ロック”ムーヴメントの勃興・興隆・終焉をも象徴する感がございます。
ボーナス楽曲は7曲。
未発表楽曲は一曲のみ。残りは別テイクに別ミックス等々となりますが、本編との部分違い等が興味深いもの。
前作よりは予算が組まれているものの邸宅を借り録音機材を持ちこんだ所は同じ。こちらには生々しさがございますが、本編共々手造り感覚や現在のガレージ感のある録音の有り方は前作と同じ。
地に着いた音楽性と音造りで虚構を排した所は後々も同じでございますが、とりわけ極初期はそれを敢えて強調し指向した感がございます.................
この機会に是非。
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