僕の大好きなバットマン。十何年か前にダークナイトを映画館で観てからはなんとなくバットマンが気になっていたのですが、ここ数年で観た映画数本で一気にバットマンという存在を好きになってしまいました。ストーリーはと言えば、正義が悪と戦うという典型的な構図なのですが、その背景やキャラクター設定が少々変わっていて、ヒーロー映画の枠組みの中で変化を持たせているところは、観る前から興味を抱かせます。普段は冴えない内気な青年だけど実は。。。という一般的なヒーローものとは少々違い、世界でも有数な大富豪が自分の信念で悪と戦うという点は、名誉欲などから生まれるものではなく、私財を投げ打ってまで悪に立ち向かうという姿勢からも純粋に清らかな正義感あってのものだと言えるんじゃないでしょうか。 表の顔は大富豪でハンサムな好青年、裏の顔は闇に紛れた漆黒のヒーロー。そこがまた捻りがあって面白いわけです。夜、闇、漆黒と言えば悪の代名詞ですが、敵と正義を完全に対比させていないところがよりリアリティが感じられるところ。 バットマンの映画は過去に幾度となくリメイクされていますが、歴代その宿敵となっているのが今回のテーマとなっているジョーカーで、ジャック・ニコルソンやホアキン・フェニックスがジョーカーを演じましたが、僕の一番はやはりヒース・レジャーが演じたクレイジー過ぎるジョーカー。代々ジョーカーのテーマカラーが少し変わっているのですが、ダークナイトで使用された紫色と黄緑色の組み合わせがよりダークでポイゾナスな雰囲気を放っていたのも僕がこの世代のジョーカーが好きな理由の一つです。 そんなジョーカーですが、バットマンの宿敵であるとは言え、実は両者には共通点もいくつか見られます。闇に乗じて敵を打ち、孤独で浮世離れした者同士が信念のために戦う姿は、人間的な善悪の判断をせずに俯瞰するとまさに表裏一体、コインの表と裏を見ているかのように感じられます。一寸でも何かが違っていたら、類似性のある対照的なものになっていたかもしれないという思いがこの二人のキャラクターを観ていると感じられるのです。そういった意味で、バットマンと同じくらい好きなジョーカーを今回のテーマとしたわけですが、ダークで、人を操るカリスマ的な魔力のような魅力を持つジョーカーから滲み出る、邪悪ではあるけど悪に純粋な信念を、スモッグのように見立てて描いてみました。