《イングルヌック》 “ルビコン” ラザフォード, ナパヴァレー (カベルネソーヴィニヨン)
プレステージキュヴェ
後戻りができず運命をかけた状況において、重大な決断と行動力を意味する『ルビコン川を渡る』。それは当時、コッポラ氏の想い表わすものであり、そこには世界の偉大な銘譲に肩を並べるワイン造りを決心した氏の強い決意を汲み取ることができる。
故ロバート・モンダヴィの助言もあり産声を上げた一品であり、それを醸造の面からそれを支えた人物がトニー・ソーター(※)。(※ Tony Soter：1970年代から1998年にオレゴンへと移住するまでの間、ナパ・ヴァレーの最高位に君臨を続けた醸造家) 「ニーバウム＝コッポラ」、「ルビコン・エステーツ」、「イングルヌック」と改称を繰り返したワイナリー名であるが、カリフォルニアを代表するワインの一つとして認知を受けた1990年代に変わらず、銘柄としてのルビコンは今に脈々と生き続ける。
【他のイングルヌック・カベルネとの違い】同年号にあって、カスク(現カベルネ・ソーヴィニヨン “ラザフォード”)よりも味わいの中間領域に膨らみが増し、凝縮感も明らかに上。アロマの開きはカスクよりも遅いが、この点は長期熟成型の宿命といったところか。酒肉は非常に柔らか。口中の風味はカスクよりも黒系が増し、余韻の性格としては、押しの強いタンニンのアタックに委ねられるものではなく、喉越し後にモカやコーヒー豆のニュアンスが徐々に現れる感。
ルビコンと旧カスク(現カベルネ・ソーヴィニヨン “ラザフォード”)の間には、従来より醸造工程における大きな差が幾つかあった。コンセプトが異なる故であり、「古式ゆかしきナパCABの再現」を目的とするカスクに対しては、熟成樽にフレンチ＆アメリカンオークが併用された。対するルビコンのそれは、フレンチ・オークのバリックのみ。但し、何をもって「古式ゆかしきナパCAB」とするかの解釈は様々。1970年代からのハイツ “マーサズ”、21世紀も人気のシルバーオークに至るまで、かねてよりアメリカンオーク熟成を特色とするナパCABもある。しかし、決して多数派ではない。フィリップ・バスコールとステファン・ドゥルノンクールの意見を取り入れ、2009年以降のイングルヌックにおいては、それを「フレンチオーク樽熟成仕様」限りに定めた。(フィリップ・バスコールが醸造の陣頭指揮を執る2011年産以降も、カスク＝現カベルネ “ラザフォード”はフレンチ＆アメリカンオークを併用。即ちかつてのコンセプトは逆転し、「古式ゆかしきナパCAB」とは今やルビコンを指す。) 果実の拘りはルビコンが相当に大きく、グスタフ・ニーバムがメドックの有力シャトーから持ち込んだ母株から続く、特別なブロックのカベルネ・ソーヴィニヨンが充てられる。
【ラザフォード地区概要】カリフォルニアのワイン産業を語る上で必ず名の挙がる重鎮達により、世界的名声を博すカベルネソーヴィニヨンが数多く生み出されたナパ・ヴァレーのサブアペラシオンが「ラザフォードAVA」。イングルヌックの創設者グスタフ・ニーバムや、その甥に当るジョン・ダニエル、フランスからこの地に渡りボーリュー・ヴィンヤードを興したジョルジュ・ドゥ・ラトゥールと、彼と共にボーリューの名を挙げた“偉人”、アンドレ・チェリチェフ。ナパ・ヴァレーの伝説はラザフォード地区から始まった。21世紀においては、スローンやスケアクロウを始めとするウルトラプレミアムの輩出源としても愛好家の脚光を増す。
■ 2013vtgはアントニオ・ガッローニ＆ジェームス・サックリングによるダブル97点
※ ガッローニ97点(＠ヴィノス／VINOUS)を他の同年産ナパCABに置き換えると、ダナやスケアクロウが同評価
※A. ガローニ評：“The 2013 Cabernet Sauvignon Rubicon emerges from the back part of the property, which lies on the foothills of the Mayacamas Mountains. Here the wines are dense, powerful and structured. That is exactly what comes through in the 2013. Layers of dark fruit built into a crescendo of aromas, flavors and textures laced with mocha, espresso, gravel and dark spice overtones. The new oak that was so prominent at the outset has begun to integrate and in so doing is allowing the fruit to come through to a greater degree than in the past. This is a tremendous showing for the 2013 Rubicon. Drinking window: 2020-2038 Tasting date: September 2016” Antonio Galloni
※J. サックリング評：“An aromatic and complex red with currant, white-chocolate and rose-petal character. Full-bodied, tight and polished. Fine and long. Beautiful now but will improve in time.” James Suckling
【造り手より】「ダークベリーのアロマが際立ち、スミレやローストオークがほのかに香る。しっかりとした骨格と赤と黒の果実の豊かな香りがワインに素晴らしいパワーと長い余韻を与えている。2時間前の抜栓を推奨。」
ナパを代表するトップメリタージュとは、オーパスワンに限られるものではありません。
かつてトニー・ソーターが醸造した頃の旧ルビコン時代より、こちらもまた内一角としての認知を受け続けます。
(2013vtgはカベルネソーヴィニヨン100%)
【品種構成】カベルネソーヴィニヨン100% Cabernet Sauvignon (2013vtg)【原産地呼称】カリフォルニア＞ナパヴァレー＞ラザフォードAVA｜Rutherford, Napa Valley, California【タイプ】[赤] フルボディ Full【内容量】750ml