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但し、包装ビニールに一部破れがございます。
Mobile Fidelity Sound Lab社は現在主流のフラットマスタリング方式の先駆者。情報量重視ではございますがアナログ盤的な音質を指向しており、非常に良心的な音質となっております。
アナログにせよ、CDにせよ、SACDにせよ、ハイレゾにせよ、マスターテープの再現が一番重要なテーマではございますが、ここ近年オーディオファンから「アナログ盤がマスターテープを一番再現していたのではなかろうか?」
との指摘が挙がり、嘗ての名マスタリング・エンジニア故George Marino等が手掛けた当時のアナログ盤が高値で取引されるここ昨今でございます。
されど、こちらにはスクラッチノイズはございませんが.........................................
内容は言わずもがな。
ラインナップは全盛期、Robbie Robertson(G、P、B-vo)、Levon Helm(Ds、Mandlin、Vo)、Rick Danko(B、Fiddle、Vo)、Garth Hudson(Key、Soprano Sax、Accordion)、Richard Manuel(Key、Dobro、Ds、Vo)となります。
他にホーン隊、Electric Violin奏者の参加がございます(ホーンアレンジはGarth Hudson他にかのAllan Toussaintが絡む)。
ゲスト参加が非常に豪華。
Muddy Waters、Eric Clapton、Ronnie Wood、Neil Young、Joni Mitchell、Bob Dylan、Dr.John、Paul Butterfield、Emmylou Harris、Ronnie Hawkins、Van Morrison、Ringo Starr、Bobby Charles、Neil Diamond等々。
正直「?」という参加もございますが、如何にThe Bandが愛された音楽性のバンドであったか?が判るものとなっております。
1976年11月25日アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ”Winterland Arena”での実況録音からの抜粋(御馴染み”Shangri-la Studio””Village Recorder Studio”でのオーヴァーダビング等)での録音となります。
そして”MGM Studios”での再録音制作となります。
現在では様々なヴァージョンがリリースされておりますが、こちらはオリジナルに即したものとなっております。
時代は七十年代後期、分野を超え様々なミュージシャンが八十年代という新時代を見据え、新たな音楽性の模索が始まった時期でございます。
(作曲クレジットを巡るRobbie RobertsonとLevon Helm他の)
バンド内の対立や音楽性のマンネリ化にセールス不振、活動の長期化に嫌気が差したRobbie Robertson。
ライヴ活動を停止し、スタジオ録音のみの活動に専念するとの提案を他のメンバーに提案するものの、反対に遭う事となります。
されどRobbie Robertsonの意思は固く、極秘裏に「活動停止記念コンサート」の企画を練り、映像収録と共に実行に移していく事となります。
後に再結成The Bandの二作目のジャケットに揶揄される程商業的感覚をも持ち合わせたRobbie Robertson。
新時代には”The Band”の様な音楽性は生き残れないのではなかろうか?との疑念が頭を擡げる事となり、ツアーを重ねるうちに徐々に活動停止ではなく「解散」を意識する様になっていきます。
そして進行中の企画を「解散記念コンサート」と変更し、その時を迎える事となります...............................................
正直企画もののライヴ。
また映像が主役で今作はそのサントラ盤という役割。
映像としてはドキュメントではございますが、今作はライヴ盤というよりはむしろ作品重視でございます。
そもそも長尺の企画ライヴという事
もあり、
楽曲によってはこなれていないものやゲスト参加ミュージシャンとの兼ね合いで細かい打ち合わせが上手くいかなかったもの、アナログ盤の収録時間制限や商業的制限等々から
編集が施される必要があり、
収録を見合わせた楽曲が多々ございます。
また、オーヴァーダビングやスタジオ制作としての再録音が成されております。
かなり差し替えたパートもあり(特にRobbie Robertson)そこが非難されるものでもございますが、あくまでも作品としての質を高める為のもの。
様々な編集が長尺ライヴでダレ気味になりがちな作品を引き締めている感がございます。
ライヴ感は上手く残しており、Robbie Robertsonの立場から見れば良心的ではなかろうか?と感じられるものでございます。されど独善とは言えますでしょうが...........................................................
テーマ曲等追加収録の他に本編ライヴでは思う様な結果が残せなかった楽曲があり、ゲストを迎えスタジオにてスタジオ・ライヴ形式で再録音が成されたものが収録されております。
正直余興という感がございますが.................終焉という感が付きまとうものでございます...........................................
以前のライヴ盤”Rock of Ages”ではミキシングが上手くいかず、忸怩たる思いを以てリリースした感のあるRobbie Robertson。
非常に録音が良いもので今作では、その鬱憤を晴らす感もございます...............................................................
(この録音の良さがMobile Fidelity Sound Lab社のSACD用音源選択に繋がった感がございます)
現在では編集技術が当時とは雲泥の差で発展している事から拡大ヴァージョンがリリースされ、(未だ全貌公開ではございませんが)当時のライヴに近い形で聴かれる様になりました。
正直、オーヴァーダビング前のヴァージョンで統一すれば良かったのではなかろうか?との感もございますが、
あくまでも作品というRobbie Robertsonの意向がある感がございます。
アメリカルーツ音楽系ロック(The Bandの四名はカナダ出身でございますが...........................)興隆一時代のみならず、当時のアメリカならではの音楽性の感がある”サザン・ロック”ムーヴメントの終焉をも象徴する感がございます。
Levon Helmを含めた他のメンバーは「解散」とは知らされておらず、バンド内は紛糾。
されど解散は変わらず、契約上制作せざるを得なかった”Islands”を制作。質は高いもののバンドに求心力はないもので、おまけにセールス不振。
解決される事のない遺恨を残しそれぞれの道へと移行する事となります.......................................
(Robbie Robertson不参加ではあるもののThe Band再結成が成される、ロックの殿堂入りが成される等々あったものの最後まで解決する事はなく、Levon HelmはRobbie Robertsonへの遺恨を残し近年他界。何だろうねぇ..........)
ゲスト・ミュージシャンは皆ギャラなしで出演した模様でございます...........................如何に愛されたバンドであったか?が判るものとなっております.....................................
プロデューサーの一人がRob Fraboniでございます。
Eric Clapton等々で知られる方でございますが、後にかのGlenn Hughes(ex-Trapeze、Deep Purple、Black Sabbath、現Black Country Communion)、Pat Thrall(Stomu Yamasita's Go、Automatic Man、Alphonso Johnson、
Pat Travers Band、Meatloaf他)の
双頭バンドの大傑作”Hughes/Thrall”、
かのIron Maidenの元ヴォーカリストPaul Dianno率いた”Killers”の隠れ名盤”Murder One”を手掛けた事でも知られる人物でもございます.........................................
この機会に是非。
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